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先代の名前は、貴島三郎(きじま さぶろう)。 荒れ果てた戦後の時代を生き抜いてきた歴史がある。 いつも俺に自分の生きた人生を話してくれた。 先祖代々、極道の家。 日本の習わしを大事にし、神棚、仏壇を大事にする姿を見て育った。 極道同士の殺し合いもあったとも聞いたのは、ガキの俺。 「俺たちゃ、極道だ。 世間から見たら、俺たちゃ、悪だ。 だから、その手で人を殺すんじゃねぇぞ」 そう言った先代と指切りしたからこそ、人殺しはしねぇ。 命は尊いと教えてくれたのも先代だ。
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