256人が本棚に入れています
本棚に追加
「台風が直撃すると聞いたワシは、懐中電灯を買いに行った。
雨も風もきつい日じゃった。
その帰りに、あの子が倒れておったんじゃ。
足が悪いワシじゃが、なんとかおんぶをした。
何も食ってないのか、ワシでもおんぶ出来る程軽い子じゃった」
爺さんの言葉を聞いて、また疑問に思った事を問い掛けてみた。
「それなら、あなたの所に玲ちゃんは、ずっと住んでいたのですか?」
「嫌、あの子が熱が下がったくらいに、スクレのママである美里がワシの所に来た。
自分の大切な妹のような者だから、自分が引き取ると言ったんじゃ。
そう言われたら、ワシは何も言えぬ。
それにワシは美里に助けてもらった事もある。
言葉を信じた訳ではないが、美里が連れて帰る事に反対はしなかった。
それに、玲ちゃんの肩にある数字も気になったワシは、元気になったら連れて来てくれと美里に言った。
美里は約束通りに玲ちゃんを連れて来た。
それからは、時々玲ちゃんは、ワシの所に来る様になったんじゃ。
だから、ワシはあの子に言うた。
美里を腹から信用するなと」
爺さんの言葉を聞いて、俺の中にあった疑問符が1つずつ消えていく。
最初のコメントを投稿しよう!