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「あの子は、信用していないと言うた。 そして、ワシに誰にも内緒の部屋を用意するのが良いと言ったんじゃ。 だから、ワシは雑居ビルの3階の奥に他人名義で部屋を借りた。 それもあの子には教えてある。 緊急の時だけ使う為に、借りてからは1度も使ってはいなかった。 じゃが、この年になると、自分の身が危ないと分かるもんじゃ。 いつかは、玲ちゃんが迎えに来ると信じておった。 あの子が来ず、坊主が来たと言う事は、あの子は坊主を信用して教えたんじゃろう」 爺さんはそう話してから、俺に『ワシは元気じゃと伝えてくれぬか』と言ってきた。 だから『はい』と答えた。 やはり玲ちゃんを助けた爺さんで間違いはない。
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