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フリーペーパー「奇妙な果実」
「なぜエリート市役所職員は若き命を散らしたか」
この三十年間で有色人種への待遇は大幅に進化した。市街戦が起きる前は、有色人種はバスの座席も指定されており、就職の門戸も限定的であった。軍隊に入らなければ有名大学の受験資格にすら該当しないなどということは今なら大問題である。
ゴッドハンドで知られるキドコロ軍医総監や、エリアP民初の市会議員となったハマサキ議員などの活躍により、エリアP民の勤勉さが見直され、地位向上に繋がった。
しかし、差別は今でも残る。
タウンズビル市郊外の集落にてクリーニング店を営むAさんは先月、一人息子を亡くした。Aさんは末期癌の夫と共に店を経営しているが、来月から年金生活に切り替える予定である。
「息子はこの社会に殺されました」
Aさんは語る。
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