波乱の予感

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ジョージは空を仰いだ。 マルチナは事務系の仕事が得意だ。会議の議事録は彼女がいつの間にか作っており、会計ソフトも一度使い方を教えたらすぐに覚えてくれた。研究一筋で事務的なことが弱いジムは大助かりだと話していた。 しかし、彼女はとにかく気性が荒い。自覚がないようだが、言葉遣いも悪い。聞くに耐えない言葉を平気で吐く。舌打ちの癖も目立つ。元お嬢様だとハイから聞いたとき、ジョージは耳を疑った。自分と同じくらいの社会階層と聞いてようやく納得できるふるまいだ。 更に、それ故「忠」なのかもしれないが、彼女は自分の道理に適わないと癇癪を起こす。一度癇癪を起こしたら最後、落ち着くまで会話は成立しない。 サンダーとハイは既に彼女の取り扱いを心得ているようで、怒り狂いだしたら距離を取っていた。 「いくら美人でもあのわがままさは無理よ」 サンダーがぼやいていた。
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