波乱の予感

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事務室に戻ると、マルチナは何事もなかったかのように仕事をしていた。デスクトップは犬のぬいぐるみのキャラクターになっていた。 向かいでパソコンを操作する。自分が残したマニュアルは開けられた形跡がなく、ただダウンロードされているだけの状況だった。データの更新は一部止まっており、市民の申請書に基づいて打込みをしないといけなかった。 「マルチ…カーチャさん、これもお願い」 机を蹴って返事をした。今度はなんだ。 ジョージを見ながら後ろを指差す。職員同士が楽しくお菓子をつまみながら談笑している。先程の女もいた。 「二時間くらい休憩してるけど」 「まあ…」 「まあってなによ」 また機嫌を損ねた。 「ねえねえ」 先程の女がやってきた。 「でたバナナぶりっ子女」 こら、とジョージが窘める。 「バナナにバナナと言って何が悪いの」 女とマルチナが睨み合う。 「ここ職場ですから」 マルチナが大きな舌打ちをする。 先が思いやられる。
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