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息子のBさんは四年前にタウンズビル大学工学研究科を優秀な成績で卒業、タウンズビル市役所に就職した。技術課に配属となったが、彼は窓口業務や雑用も任されていた。
両親はBさんに会いたいと連絡したが、Bさんは仕事を理由に毎回断った。ある日、Aさんが書類を申請しに職場を訪ねると、BさんはエリアAの上司に叱責を食らっていた。スーツは就職活動時に使用していた安物で、だいぶ古くなっていた。その夜、Aさんは実家に戻るようにBさんに連絡をした。しかし、Bさんは大丈夫ですとしか言わなかった。
「無理にでも引っ張っていけばよかったと後悔しています」
Aさんは訃報を警察から聞いた。自室で首を吊り、死後数日経っていたそうだ。
市役所からは見舞金をもらった。ようやく貧しい生活からは脱却できそうだ。しかし、息子は帰ってこない。
現在、ハード面の差別は改善に向けられている。しかし、ソフト面の差別は依然解消しない。
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