悪いニュース

1/2
前へ
/38ページ
次へ

悪いニュース

森に朝日が差している。美しい光景だ。とても、街で起きている騒動が想像できないくらいに。 テレビでは、黒縁メガネのアナウンサーが普段の冷静さを失った口調で実況中継をしている。  「昨夜から続いている市役所へのサイバー攻撃による被害が止まりません」 画面が市役所に移る。 「こちらはタウンズビル市役所、大混乱です」 右往左往する課長にパソコンに向かい頭を抱える職員。 また黒縁メガネのアナウンサーに戻る。 「皆様、モンスターはもはや人の形をしない時代となりました。パソコンやスマートフォンの取り扱いには気をつけてください」 ジョージは野菜を切りながら、嫌な予感に胃を痛めていた。ハイが心配をする。 「ジョージ、料理は俺がやるぞ」 「大丈夫、ありがとうございます」 ジムが入ってきた。ジムはジョージの料理を食べに毎朝やってくる。 「今朝は赤カブの漬物に豚汁に焼き魚か」 「すみません、ハイカラなものはつくれないので」 「グッド!僕はこういう朝食が大好きだよ!」 朝から何なんだろう。内心毒づきながらサラダをジムに渡す。 「だが、僕は可愛そうだ。三日も手料理を食べられないなんて」 嫌な予感がする。 「ジョージ、君は三日間市役所に出向さ!」 ジョージが手を止め、空を仰ぐ。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加