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周りはざわざわしている。嫌な気分だ。
「ああ、ヤマグチさん、ごめんね。実はちょっと色々ありまして。ヤマグチさんのせいじゃないからね」
エドワードは優しげに話した。彼は新しく入った嘱託職員だろうか。全く覚えていない。
「しかし、惜しかったな…」
つぶやきはジョージには聞こえなかった。
久しぶりにパソコンを立ち上げる。ファイルの並びは特に変わっていなかった。データベースの完全性が大幅に欠損していため、マルチナには台帳と照合の上データ入力を依頼した。
「僕は技術課と話をしてきますね」
「OK」
マルチナは「松花江」の売上監査と各種事務作業を担当している。パソコンが使えたため、シフト管理や体調管理、売上管理をするようにアンナに言われているのだ。だからデータ操作は得意だ。
「にしても」
マルチナはつぶやく。
「この市役所大丈夫か。赤ちゃんとじいさんのデータが混同してる…八十歳がなんで保育園に入るのよ」
データベースソフトを見ると、結合や関連に問題があるようだった。これも電子世界のモンスターのせいなのだろうか。
もしかして、モンスター騒ぎにかこつけて便利屋よろしく呼ばれただけではないのだろうか。
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