1人が本棚に入れています
本棚に追加
波乱の予感
「ジョーさん、これわかんなあい」
若い女性職員がやってきた。エリアPかQだろうか。比較的色白で、甘ったるい雰囲気がした。
「ジョーは打ち合わせに行ったから私にできることなら」
彼女のパソコンに向かうと、すぐに分かる内容だった。教えようとすると、女性職員はしなを作り言った。
「ええ、やってくれないんですかあ」
マルチナは耳を疑った。
「できないから依頼してるのにい」
女性職員がふええ、と言い始めた。
男性職員が現れ、マルチナを詰る。
「あなた、意地悪ですね」
マルチナは混乱した。自分はおかしいのだろうか。パニックになったマルチナはキーボードを叩きつけた。
「あなたの仕事じゃないですか。おかしいじゃないですか」
丁度、ジョージが帰ってきた。帰ってくるなり別室に連れて行かれた。
「聞こえていたよ」
「なら私悪くないわよね」
ジョージがため息をついた。
「俺やマルチナさんはわからないと自分で調べますが、それをしない人もいるんです。あの人はそういう人です。そういう仕様と理解して大人な対応をしてください」
「馬鹿なのに事務職についたのはなぜよ」
「さあね、それは僕たちにはどうでもいい話です」
マルチナは明らかに不服だという顔でジョージを睨みつけるとデスクに戻った。
最初のコメントを投稿しよう!