④C3665Cさん

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④C3665Cさん

「だからなんだというのさ?」 梅子は左肩の銃創を右手でポンポンと軽くはたき 「聖遺物?の銀の弾を使ったのは褒めてやろう」と言った 「しかし梅の花を散らすには少しばかり弾の数が足りなかったようだな」 「梅の花を散らしこの館にかけた術を解くには、銀なら5発、金なら1発の弾がいるんだよ」 dbaaea97-92f7-4dad-8b39-620feb0daa5b 梅子はそう言うと紳士にゆっくりと近づき 紳士の手からいとも簡単に人形を取り上げた 「何をどこまで知っているのか知らねぇが、仮初めの肉体に魂を戻すのは感心しないぜ、まぁ元の娘に戻したかったらの話だけどな」 「マリアンナかマリアンヌか知らねーけど お前の可愛い娘の肉体は一番奥の部屋でスヤスヤとおねんねしているよ」 紳士は声を荒げ 「な、なぜ!うちの娘を人形にした!」 と梅子に詰め寄る 「ハハハハハ...何を言っている お前だって娘を人形の様に扱っていたじゃねーか!」 紳士はうつむきチカラの抜けた声で梅子に問う 「このあと私をどうする?人形にするのか?」 「ハハハハ...お前の様なオヤジをお人形様にする? 笑わせるなよ需要がないだろ?需要が? あ・る・ワ・ケ・な・い」 「なら殺すのか?」 「いや、ちょうど雑用係を探してたところだ 特別に雑用係のリーダーにしてやるよ」 「まぁリーダーと言ってもお前ひとりしかいないけどなー」 「娘のそばに居たかったら言うことを聞くんだな」 「朝になったら手始めにハッピーセットを買ってきてもらおう」 (子どもだ...) わたしは少しクスッとした クスッとして落ち着いたからなのか 薄暗い部屋の様子が冷静に見られる様になった 中でも気になるのは目の前に置かれた わたしを映す鏡 よく見ていると不意にノイズが入り わたし以外の何か...いや見覚えのある場所が映る そこはバイト先...マクドの更衣室に思える 壁にはわたし達クルーのふざけた写真が貼ってあり 辞めた男の子が残した大きな穴があるのだ ...更衣室の鏡とこの鏡は繋がっている...? わたしはこの鏡に何か秘密があると思いながら 梅子と紳士のやり取りを聞いているしかなかった 下校途中の女子高生が行方不明 たまに友達の家に泊まりに行くこともあるけど 必ず母親には連絡を入れているし 朝になれば大騒ぎにはなるだろう きっと捜索も始まるはず... 動かぬ体に絶望を感じながらも 希望だけは失わないと誓った だが朝はまだ来ない
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