お姫様を抱くように

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事の始まりは、文化祭の出し物を決めるクラス会だった。 あたしのクラスは、高校三年生なのに、全然盛り上がらないクラスで、文化祭の出し物も、いっこうに決まらなかった。 だから、いい加減なクラス委員の花田君が、しびれを切らせて、言った。 「もう、出し物は止めて、男女が適当にくじでカップルになって付き合うことにしようぜ」 花田君は、ただ思い付いたことを言っただけだが、それを聞いたクラス中に、異様な緊張感と、期待感が一気に広がった。 騒めく中、花田君は、くじを作り始めた。 黒板に、あみだくじの線を、クラスの男子の人数分だけ、引いた。 そして、その線の下に、クラスの女子の名前を書き始めた。 あたしの名前は、一番最後に、一番左の端に書かれた。
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