お姫様を抱くように

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付き合うことになったカップルは、早速一緒に下校することになった。 あたしは、ヌボー君と一緒に、学校を出た。 ヌボー君は、やっぱり俯いたまま、何もしゃべらなかった。 そう言えば、ヌボー君がしゃべっているのを聞いたことがない。 それに、ぼさぼさの頭で、髪の毛が長くて、顔が半分隠れているから、どんな顔をしているかも、よく分からないのだ。 あたしたちは、無言で、並んで歩いた。 あーあ、これから、どうなるんだろ……。 あたしが、大きなため息を吐いた時だった。 歩いていた通学路に、猛スピードで、トラックが突っ込んで来た。 「きゃーーー!!!」 あたしは、悲鳴を上げたが、恐怖のあまり、一歩も動けなかった。 すると、ヌボー君が、素早い動きで、あたしを抱きあげた。 そして、飛ぶように空中を走り、歩道に降り立った。 あたしは、ヌボー君の腕の中で、茫然としていた。
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