アザナイ 第8話

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「すげえな、これ。お前ずっとイってんの?」  堪らない蠕動の感触を味わいながら、佐木の耳に吹き込む。すると佐木の瞳が羞恥心から急速に潤んだ。佐木の分身は再び硬度を持ったまま、切なげに震えているだけだ。前ではない。貴島を迎え入れた後ろだけで佐木は達していた。その快楽は放出という解放が存在しない為、終わりがない。 「やべえな。すげえ気持ちいい」  明け透けな言葉を囁くと、入口が強い収縮を繰り返す。佐木は心根だけでなく体も素直だ。可愛く思えて、音を立てて頬に口付ける。 「大地さん、ぁ、……大地さん、っ」  佐木は何度も名前を呼びながら、貴島にしがみついてくる。絶頂の予感に、貴島は佐木の屹立へと手を伸ばした。 「ひ……ぁっ、く」  後ろでの刺激で、既に限界すれすれの状態で震えていた分身は、あっという間に爆ぜる。貴島も佐木の一番深い場所で、己のすべてを解放した。 最愛の人間と心も体も繋がった幸福感に、不意に涙が出そうになる。 「っ、……ん」  繋がったままで繰り返しキスをしていると、自然と笑みがこぼれる。貴島はシーツの上で佐木の手を取ると指を絡めて握り締めた。すると佐木も嬉しそうな顔で貴島の手を握り返す。 「幸せです」  静かに落とされた言葉に、「ああ」と同意を返した。  誰も認めてくれなくても、公言することが叶わなくても、自分と佐木は家族だ。二人で寄り添って生きていくと決めた。形にこだわる必要はない。こうして手を重ねれば、いつだって確かめられるし、もうこれ以上に幸せなことはない。  いつだって傍らに握り締めてくれるこの指があるのなら、貴島はどこまでも強くなれる気がした。 《END》 ※※ここまで読んでくださりありがとうございました! 番外編集①②(②は3月発行予定)に本編の合間の話や二人のその後の話がありますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします※※
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