ウタカタ 第2話

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 翌朝、リビングへ足を踏み入れるとエプロン姿の佐木が笑顔を見せる。 「あ、大地さんおはようございます。今起こしにいこうと思っていたところです」 貴島はそれに返事をしてテーブルに着く。テーブルの上にはオープンサンドとシーザーサラダが並べられていた。 「洋食とか珍しいな」 というより初めてかもしれない。佐木が作る料理は今まで、朝食に限らずすべて和食だった。 「……ごめんなさい、和食の方が良かったですか?」 貴島の呟きに佐木は申し訳なさそうな顔を見せる。 「いや、美味そう」 答えると、佐木は即座にほっとしたような表情になった。 「これ、宜しかったら先に召し上がって下さい」 佐木は貴島の目の前に野菜ジュースを置いた。昨夜の酒が残っているのか、軽い頭痛と、胸に少しの不快感がある。それが和らぎそうな気がして、貴島は言われるままグラスに手を伸ばした。 「お、美味ぇ」 口当たりの良さに思わず感嘆の声を上げる。緑色の液体はどろりとしていて見るからに苦そうなのに、フルーツが入っているのか爽やかな甘味がするりと喉を通っていく。 「本当ですか? 良かった」  貴島の言葉に佐木は嬉しそうに笑って、空になったグラスにミキサーの中身をつぎ足す。 「京野菜で作ったジュースなんです。昨日大型のスーパーに行ったら産地直送の野菜が売っていて。栄養価も高いそうなので、お口に合ったなら良かったです」  心底嬉しそうに笑う佐木に、貴島の胸が少しだけ軋んだ。
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