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口付けは徐々に濃厚になっていく。貴島はキスの合間に佐木の体を抱き寄せて、自分の膝の上に乗せた。
向かい合う体勢で散々舌を絡ませ合って、ようやく解放する。
「……って、先にヤりてーからさっきあんなこと言った訳じゃねえぞ? でもこれじゃあ説得力ねぇな」
佐木のシャツの裾から侵入させていた手を意味深に動かして、貴島は自嘲するように笑った。
「たまには俺が何か作ってやるよ。お前程美味くねえと思うけど」
言いながら、貴島が佐木の背中から手を引き抜こうとしたのと同時に、佐木は首筋に腕を回して貴島へと縋り付いた。
「説得力なくて、いいです……。俺は今すぐ貴方が欲しいです」
耳の傍で聞こえた囁きに、僅かに熱を持ち始めていた貴島の下肢が、一気に後戻りできないところまで昂る。
「佐木」
貴島は佐木を強引に引き剥がすと、噛み付くように口付けた。
「……んっ、ふ…ぁっ……」
お互いの唾液を啜り、吐息さえも貪り合う。すぐに体温が上がって、性急に服を脱がせ合った。
「加減、できねえぞ?」
直接触れてもいないのに、貴島の中心は既に形を変え始めていた。煽ったのはお前だと視線で責める。
「そんなの、しないで下さい」
首筋を朱色に染めながら、佐木は貴島の耳殻に軽く歯を立てた。
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