フシダラ 第2話

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 ダークグレイのシーツが素足に擦れて音を立てる。くっきりと浮き上がり、綺麗に割れ目ができた腹筋に置いた佐木の手は、もたらされる刺激に戦慄いていた。 「……焦らしてんのか?」  揶揄を含んだ低い声にさえ、下腹はずくりと疼く。 「ほら、ちゃんとイイとこに当たるように自分で動けよ」 「…っ…ん」  促すように下から軽く腰を突き上げられ、貴島の楔を受け入れた場所がぎゅっと締まる。する貴島は小さく息を詰めた。その扇情的な表情に、佐木はどうしようもなく情欲をそそられる。こくりと小さく喉を鳴らして、やがて腰を揺すり始めた。その様子を、貴島は微笑を浮かべて下から眺めている。 「……ん、っ」  すべて見られている。仰向けの貴島の腰に跨り、広げた足の中心では、既に形を変え、硬くなった屹立が動くたびに揺れていた。それだけじゃない。貴島をと繋がった場所も、快楽に歪んだ顔も、……全部。それが恥ずかしくて堪らないのに、佐木の動きは徐々に早さを増していく。反り返った芯からは、先走りの蜜が止めどなく溢れた。 「ぁ、あ……ぅ、ん」  こんな自分が、佐木は今でも信じられない。自ら快楽を貪り、身悶える。まるで自分ではないようで、不意に怖くなる。
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