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「あ、それなら甘い物は好き?」
九鬼は机の下からメニューを手繰り寄せる。
「なんかデザート食べようよ。さっき女の子たちが食べてたのすっごく美味そうだったから」
九鬼が開いたメニューを見ると、二ページに渡ってデザートのメニューがぎっしり記載されていた。
「僕はー、チョコレートパフェ!」
即決する九鬼に、まだすべてのデザートメニューを見終えていない佐木は慌てて視線を走らせる。
「あ、佐木くん、これにすれば?」
九鬼が指差したのはチーズケーキだった。好物だったこともあり、佐木は言われるままにそれを注文することにした。
「ねえ、佐木くん。……僕、鬱陶しい?」
注文を済ませるとすぐに、九鬼はそんなことを言い出した。
「え! そんなことはないです」
あまりに唐突な問いに佐木は戸惑う。
「そ? ならよかった。さっきから周り気にしてるから、僕がウザイから他の場所移りたいのかなって思って」
拗ねたように唇を尖らせる九鬼に、佐木は失礼だと思いつつも、少し笑ってしまった。
「すみません。ただ、九鬼さんが僕なんかとずっと話していてもいいのかな、と気になってしまって……」
監督なのだから、こんな隅ではなく、それこそ貴島や七原がいるテーブルに座るのが相応しい気がする。
「あはは、いいのいいの。みんな僕なんかに構ってらんないって」
九鬼は右手をぶんぶんと振る。
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