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◇ ◇ ◇
伊織は私の手を引くと自らのベッドの上へ座らせた。
「僕は、姉と似ていますか?」
囁くような声に、私は「ああ」と答えた。艶やかな黒髪は同じだが、本当はそこまで似ているとは思わなかった。
「それじゃあ姉だと思って、楽にしていて下さい」
そう言うと伊織は私をベッドに押し倒し、その上に乗り上げてきた。戸惑う私の顔を覗きこみ、冷えた指で頬を撫でる。
「……っ、ん」
軽く口を吸い、伊織は再び身を起こすと、着ていたシャツを脱ぎ捨てる。私には伊織の意図がわからなかった。わからないのに、その体を拒もうという気がまるで起きなかった。ズボンも脱ぎ、惜しげもなく裸体を晒した伊織は手にしていたワセリンの小瓶を開封して、自分の後腔へと塗りつけ始める。私はその光景に息を呑んだ。いやらしく響く水音と伊織が漏らす息に、下腹に熱が集中していくのを感じる。一旦動きを止めた伊織が、熱っぽい視線で見下ろす。瞬間、自分の中で何かが切れる音がした。今まで感じたことのない欲求に襲われ、弾かれたように身を起こす。
「ぁっ! ……っ」
伊織の体をシーツの上に力任せに引き倒し、その上に圧し掛かる。獣のように荒い息を吐きながら、私はその白い肌に噛み付いた。
◇ ◇ ◇
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