208人が本棚に入れています
本棚に追加
/332ページ
「こんなことしてんだからもうわかってると思うけど、僕そういう人種だから。んで、現在はフリーで今狙ってるのは佐木くんね」
「申し訳ありませんが、九鬼さんのご期待には添えられません」
「あらら、意外にばっさりフラれちゃったな。もっと慌てふためくと思ってた」
九鬼は茶化すように軽い調子で言った。
「放して頂けませんか?」
きっぱりと告げる佐木に、九鬼は長めの息を吐いた。
「もしさぁ、僕が今『言うこと聞かないと貴島くん降板させるよ?』って脅したらどうする?」
「九鬼さんはそんな愚かな人ではないと俺は思っています」
その答えに九鬼は一瞬目を見開き、すぐに口の端を上げた。
「ほんと、益々そそられちゃうなぁ」
九鬼は喉奥で笑う。
「まあ実際のところ僕にそんな権限ないけどね」
そう言ったあと、九鬼はふっとその顔から笑みを消した。瞬時に変わった九鬼の雰囲気に、佐木は身構えた。
最初のコメントを投稿しよう!