フシダラ 第7話

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フシダラ 第7話

「説明しろ」  自室のリビングに着くと、貴島は佐木を解放し、低い声でそう告げる。  動揺で頭が回らず、何度も言葉に詰まりながら、佐木は事情を説明した。 「お前は口止めの代わりにあいつと寝るつもりだったのか?」 「……っ」  言葉がなかった。言い訳も何も口にしない佐木に、貴島はその両肩に手を置いた。 「俺の保身の為にお前が他の男と寝て、俺がどんな気分になるかわからねえか?」  怒りとも悲しみともつかない貴島の表情に、佐木の胸が壊れそうになる。 「……すみません、……本当に、ごめんなさい」  そればかりを繰り返す佐木に、貴島は掴んでいた肩に力を込めた。 「……もういい加減わかれよ。ちゃんと言っただろ? 比べられるモンじゃねえと思ったけど、今仕事とお前を並べられても、多分俺は仕事をとれねえ」 「大……地さん」  プライドの高い貴島から、こんな言葉が出るくらいに、自分は貴島を傷付けてしまった。体の奥からとめどなく溢れ出す後悔と罪悪感に息を詰まらせながら、佐木は再び謝罪を繰り返した。
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