フシダラ 第7話

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「誰が下げていいっつった」  鋭い声に、佐木は泣きそうな顔で背後の貴島を振り返る。 「ちゃんと前向いて見てろ。お前、自分がどれだけ男がそそる顔してるかわかってねえからなぁ」 「……っ、大地さん」 「早くしろ」  縋る佐木を突き放し、貴島は佐木の柔らかな双丘を手のひらで叩いた。佐木は唇を噛み締めて羞恥を堪えながら、再び腰を上げた。ベッドの淵に爪を立てながら顔を上げると、クローゼットの鏡に映った自分と目が合う。 「ひ、ん、ぅ、……ぅ」  貴島の舌が表面のひだを嬲り、徐々に内部を犯していく。快楽に潤んだ瞳、だらしなく開いた口からは涎が溢れた。背後から粘った音が聞こえる度、その顔は歪み、情けない声を上げる。  浅ましい自分の姿。目を逸らしたいのに、貴島はそれを決して許さなかった。自重を支えるのが限界になってきた佐木の両膝が、がくがくと揺れ始めると貴島は行為を止めた。
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