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「この辺を、舐めたり噛んだりしてみてぇなって思ったのが切っ掛けだな」
佐木の首筋を指でなぞると、その体がびくりと跳ねる。
一年中行動を共にしている貴島だから、佐木から不意に滲む色気は以前から感じていた。しかし、清廉なイメージしかない佐木が、ベッドではどんな姿を見せるのか興味はあっても、それを自分が暴こうなどとは考えたこともなかった。けれど佐木の心の深いところに触れて、知らず知らずのうちに自分の内側にも入れていることを自覚して、それまでとは違う目線で佐木を見ていることに気付いた。すると、自分以外の誰かが佐木に興味を持つことが不愉快になった。コミュニケーション代わりのスキンシップが段々とエスカレートしていった。
「押し倒したらどんな反応すんのかとか、イク時どんな顔すんのかも想像した」
「っ、大地、さん」
羞恥からか首筋まで朱色に染まった佐木の耳に唇を寄せる。
「それが一瞬で抱きてえなになってた」
「ん……っ」
わざと低くした声に、佐木が身を竦ませる。
「実際寝たらもっと抵抗あると思ったのに、まったくなくて逆にビビったな」
佐木のネクタイを指で解いて、ボタンに手を掛けた。鎖骨を甘噛みしてシャツをはだけさせると肩口に跡がつく程歯を立てる。
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