アザナイ 第8話

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 こうして佐木とちゃんと肌を重ねるのは、ひと月ぶりのことだった。この一週間同じ部屋に暮らしていても、貴島が自宅に戻れるのは一日でほんの数時間、その時間も殆ど睡眠に費やしていた。一度、切羽詰った貴島がシャワーを浴びる際に佐木を連れ込んだことがあったが、その時はただ互いの熱を解放することだけに終始した。時間の余裕もない上に、まだ佐木の体調が気掛かりだったからだ。  けれど今日は、我慢もできそうになかった。 「んっ、っ、ぁ」  佐木の両足を抱え上げ、胸につくように折り曲げる。最奥を舌でくすぐり、躊躇いなくその場所へと侵入させる。入口を解すように舌を出し入れすると、佐木は甘い声を上げた。充分に柔らかくなったそこへぬめりを足して、屹立をあてがう。足を抱え上げ直すと、貴島はゆっくりと腰を進めた。 「あっ、ん……んっ、あ」  佐木の内部にすべてを収め、深く繋がったことを知らせるように揺さぶると、佐木の体が跳ねて内壁が収縮し始める。 「っ、く」  貴島はその感触に思わず呻いた。佐木の体の両端に手をついてバランスを取り、佐木の弱い部分を意識しながら穿つ。少し開いた佐木の唇からは際限なく上擦った声が漏れ続け、体はがくがくと痙攣していた。
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