アイオイ 第7話

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  ◆  ◆  ◆  十三時半。番組表通りに放送が始まる。人気の女性お笑いタレントが司会を務める昼のトークバラエティは、日替わりでゲストを迎えて行われる三十分番組だ。今日のゲストが登場すると、観客席から黄色い声が上がる。なかなか鳴り止まない歓声に、司会者の女性が必死に宥める。テレビ越しに見る貴島の姿に、佐木は複雑な気分になった。  番組開始後、五分経っても十分経っても、貴島に変わった様子は見られない。番組が半分過ぎた頃、話題が女性司会者の飼っているチワワの話に移った。 「もうね、ほんっとに可愛いんですよ」  司会者は興奮した様子で熱弁を振るう。 「仕事から帰ってきてあの可愛い顔でお出迎えされると、疲れ吹っ飛ぶんですよ!」  貴島は愛想よく相槌を打っている。 「貴島くんは何か動物を飼ったりしてないんですか?」  司会者の質問に、貴島はしばらく考える仕草を見せた。 「うちにもいますよ。……犬が一匹」  貴島の返答に、佐木は思わずテレビに向かって、「え」と声を出していた。何故なら貴島がペットを飼っているという話は聞いた事がない。 「わあ、男の子ですか? 女の子ですか?」 「オスですよ」 「そうなんですか! うちも男の子なんですよ」  もう愛し過ぎて彼氏を作る気も起きない、と真顔で語る司会者に、客席から笑いが起こった。
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