209人が本棚に入れています
本棚に追加
「貴島くん、またまたですけど……」
司会者が試すような視線を貴島に投げ掛ける。
「はい、もう連載開始しちゃおうかって感じですよね」
貴島の冗談に大きな笑いが起きる。
「あの女性とは一体どういうご関係なんでしょう?」
その言葉に佐木は目を剥いた。こんな質問、明らかにNGだ。焦って思わず携帯を握ったが、どうにかできる訳はなく、画面を食い入るように見つめた。
「美人でしょ? 年上の人なんですけど、連れて歩けて鼻高々でしたね」
貴島の笑顔に呼応するように、佐木の胸がずきりと痛む。
「あの方が今の彼女さん、という事ですか?」
テレビ越しにも観客席がざわついてるのが伝わった。
「だったらいいんですけ、残念ながら違いますよ。既婚者です」
「え! 不倫!?」
「あはは、人妻って良いですよね。なんつーか響きがそそられる。けど、こう見えて俺は人妻さんとやらしい事したことないですね」
「じゃあ、写真の人妻さんは?」
「実はあの写真、上手いことツーショットで写ってますけど、もう少し横に旦那さんがいるんですよね」
「えっ! そうなんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!