アイオイ 第8話

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「佐木」  低い声で名を呼ばれ、佐木は恐るおそる瞼を開いた。膝立ちになった貴島はシャツを脱ぎ捨てた。彫刻像のように綺麗に筋肉がついた美しい体に、佐木は目が離せなくなる。呆然と見惚れていると、体を倒した貴島が顔を寄せてきて、再び目を伏せた。直に触れ合う素肌が恥ずかしくて、心地いい。 「……んっ」  施される口付けに翻弄され、少しずつ佐木の体から力が抜けていく。貴島の舌に唆され、貴島の口内へと誘われる。舌先を歯で扱かれ、吸われると、ひくひくと下腹が疼いた。 「……っ! んっ……ぅ……は」  巧みな口付けに夢中になっていると、ひたりと腹筋の上に置かれた貴島の手が、ゆっくりと下へと辿っていった。その手は躊躇う事無く薄い下生えを梳き、形を変え始めた佐木自身を撫でた。怯える佐木を押さえ込み、貴島は握ったそれをゆるゆると扱き始める。 「大地さ……ん、ぅ、あ……や、ぅん」  強弱をつけて擦られ、絶妙な刺激に腰が跳ねる。恥ずかしいのに、もたらされる快楽に溺れて何も考えられなくなる。貴島の唇が肌の上を伝い、硬くしこった突起を口に含む。音を立てて吸われ、甘い痺れに身をよじった。 「……あ、っん、っく」  貴島の手からはいつの間にか粘った音が聞こえてくる。縋るものを求めて無意識に貴島の髪に触れると、胸の飾りを甘噛みされた。 「ん、ゃ、っ……は……ぁ」  じわじわと高みに追いやられ、覚えのある感覚に襲われる。 「大地さん……っ、離して下さい……もうっ」  しかし貴島は手を離すどころか、更に追い上げるように手の動きを速めた。 「やっ……だめ、だめです……お願っ……あ、ぁ……う」  次の瞬間、佐木は体を痙攣させながら熱を放つ。白濁は佐木の腹や貴島の手を汚した。荒い息を吐きながら、強すぎる快感にしばらく呆然と天井を見つめた。
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