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「気持ちよかったか?」
けれど聞こえた声に、すぐに飛び起きた。佐木の勢いに貴島は少し驚いた顔をする。
「ごめ……んなさい」
青褪め、狼狽しきった佐木は迷子の子供のような表情で貴島を見た。
「なんつー顔してんだよ」
「……ごめん、なさい」
佐木は謝罪を繰り返しながら、腕を伸ばし貴島の手を掴む。貴島の手は佐木の欲望の残滓で濡れていた。
「……おい」
佐木は躊躇う事なくそこへ舌を這わせる。必死に自分の出したものを舐め取り、貴島の手を清めようとする。
「お願いですから……、嫌いにならないで下さい」
懇願しながら指に吸い付く佐木を、貴島は黙って見ていた。汚れの殆どを舐め取り終えた佐木は、言葉のない貴島に不安そうな視線を向けた。貴島は舌打ちすると、「なる訳ねえだろ」と吐き捨て、荒々しく佐木の肩を引き寄せると唇を塞いだ。
「……っん、ぅ、ふ」
佐木が舐め取った残滓を啜るかのような生々しい口付けに、全身が粟立つ。糸を引いて離れていく貴島の唇をぼうっとした頭で見ていた。
「これ以上煽んな」
貴島はそう言うと、佐木の手を掴んだ。そっと導かれた先は熱くなった貴島の分身で、それは布越しにもはっきりとわかる程に硬くなり脈打っていた。佐木がその質量に驚き手を離すと、貴島が意地悪く笑った。
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