アイオイ 第8話

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「つー訳で、もう待ったは聞いてやらねえからな」  貴島は自ら残りの衣類を脱ぎ捨てると、佐木をうつぶせにさせた。取らされた体勢に羞恥を覚える間もなく、触れた貴島の指先に身を竦ませた。 「……んっ……く」  際奥を割り広げるように貴島の指が柔らかな肉を掴む。すぐに冷たく濡れた感触が敏感な部分に触れて、佐木は身震いをした。 「……うっ、……んんっ」 「力抜いてろ」  シーツに顔を埋めて、その奇妙な感覚に耐える。入口を揉むように撫でていた貴島の指が、更にぬめった液体を足して、ゆっくりと内部へ侵入してくる。充分に濡らされたそこは、貴島の指を拒まなかった。貴島の指は何度も内部を行き来し、行路を拡げるように蠢く。 「っ、ん、ん……」 「痛いか?」 問われて佐木は首を左右に振った。痛みはなかったが、異物感に鳥肌が立つ。貴島は徐々に指の本数を増やしていった。 「……っ、ぅ、ぁ……はっ、や」  内部を押すように撫でていた貴島の指が、ある一点を圧迫すると、予想もしていなかった衝撃に見舞われる。じわじわと押し寄せる甘い疼きをどう扱っていいのかわからず、佐木はかくかくと腰を揺らした。佐木の顕著な反応に、貴島は同じ場所を重点的に攻め立てた。 「ひぅ、ぁ……っう……んっん」  自分のものとは思えない声が漏れた。佐木はそれを恥ずかしいと思う余裕もなくシーツを握り締めながら震える。触れられてもいない前が熱を持ち始める。自分の意思と隔絶されたような体が怖かった。
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