アイオイ 第8話

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「お前ン中……気持ちーな……」  掠れた貴島の声に呼応するように、佐木のそこが蠕動する。熱くてどうにかなりそうだった。開始された激しい抽挿に佐木はあえかな声で自分を翻弄する支配者の名を何度も呼ぶ。 「大地さん……っ、あ……ぁ」  撹拌する動きに合わせて、貴島は佐木の昂りを手のひらで扱く。全身に広がる甘い痺れに苛まれながら切ない声を上げる。今まで感じた事のない快感の渦に叩き込まれ、程なく佐木は頂点にのぼり詰めた。 「んー、ぅ、あ、ぁ、や……あぁっ!」  全身を痙攣させながら、情欲を迸らせる。貴島と繋がっている部分が中にあるものを絞り上げるように収縮した。 「ぅ……っ」  貴島は息を詰めて体を倒すと、音が立つ程強く腰を打ちつけた。佐木は朦朧とした意識の中、貴島の背を抱きその激しさを受け止める。耳元に聞こえる貴島の息遣いが、同じように荒くてそれだけの事に嬉しくなる。 「……くっ」  呻いた声で、貴島が達したのだと知った。荒い呼吸がおさまらないうちに、貴島は佐木の顔覗き込み、唇を重ねてきた。 「……ん、っ、は」  行為の名残を感じさせる深さと、気遣うような甘さを併せ持つキス。目と目が合うと、佐木は幸せ過ぎてまた泣けてきた。そんな様子に気付いた貴島がふっと苦笑する。 「……あ」  不意にこめかみを伝う汗が貴島の目に入りそうになる。それを舐め取ってしまいたい衝動に、佐木は背筋を震わせた。 「……やらしい顔で人の事見んじゃねえよ」  そう言って笑った顔こそ扇情的で、佐木はそれはこっちのセリフだと言ってやりたくなる。けれど唇を塞がれて、それは叶わなくなる。  熱い舌に、思考も体もドロドロに溶けていく。ずぶずぶと沈んで、溺れてしまいそうな錯覚に、佐木は沈まないよう貴島の首にしがみついた。
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