とある雪の思い出その1(ナオ編)

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ウエノショウコは、煎餅のお店までついて来た。 私が、逃げ出すか、ヨシタカさんに密告するか気になったのだろう。 逃げ出すつもりはない。 行って、17時まで待って、帰って来るだけの事だ。 電車は、雪で停まる可能性があるため、タクシーで行っても良いと言われた。 缶に入った、20個は、思ったより重く、場所を取る。 電車よりタクシーの方が、助かると思う。 念の為に、多めにメーカーの紙袋を貰い、1つ1つビニール袋で包んだ。 ウエノショウコは、私のカバンを持ってくれ、タクシーを呼んでくれる。 タクシーが来ると、ほぼ座席に埋めつくし、残りは後ろのトランクに入れる。 ウエノショウコは、そこまで、手伝ってくれた。 問題は、その後だった。 ウエノショウコは、私をタクシーに乗せて、行先の住所を言うと、 そのまま扉を閉めた。 タクシーは、走り出す。 しばらくは、気づかなかった。 煎餅の紙袋が、埋め尽くされていて。 私の鞄が、ウエノショウコに盗られている事に。 私は、乗り物が弱いので、出来るだけ酔わないようにする対策で、頭がいっぱいだった。
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