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遠くに行ってしまった君へ。
この手紙を読んでいる、ということは
どこかの浜辺に流れ着いてしまったのかな。
それとも、君にちゃんと届いたのかな。
僕は君が遠くへ行ってしまったあの日から、
ずっと後悔しているんだ。
もっと話せばよかった、もっと関わればよかった、
もっと好きだと言えばよかった。
そういう情けない気持ちを抱えながら
今日も必死にもがいて生きているよ。
そんな僕に病気が見つかったんだ。
いつも君を遊びに誘っていたあの僕が。
僕自身が一番驚いていると思う。
この世戻ってこいなんて言えないし、
たとえそう言ったとしても君は帰ってこないって
十分わかっているつもりだよ。
でもやっぱり寂しいんだ。
死者は海に帰るって言うから、
僕はこの小瓶を海に流してみたんだ。
そういう仮説みたいなものでも、
この小瓶が一パーセントの確率だとしても
君に届くなら、と。
もし君に届いたのなら一つ、お願いがあるんだ。
一度で良いから、また顔を見せてくれないか。
さっき言った通り僕はもう後が長くない。
それに悪い行いしかしてきていないんだ。
君は天国のように美しいこの海で生きて、
僕は地獄のような暑い火の中で生きる。
僕と君は本当の離れ離れの状態になってしまう。
だから、一度だけで良いんだ。
この狭い病室に、
姿を見せてくれよ…。
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