《RENG SIDE part7 = this life》

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《RENG SIDE part7 = this life》

 この街の孤児にはそれぞれ値段がつけられている。  つまりこの街にいる限り、俺らは一生売り物だ。  それでも女はいち早く花街の経営者(オーナー)に買われていくが、男はほぼ売れ残る。  よっぽど死んだ息子に顔がそっくりだとか影武者とか、そんな切実な事情でもない限り、一生俺らに自由はない。  複製(クローン)の作れないこの国では、孤児を代わりに利用する。  居住空間のみ提供され、とはいえ廃墟のような場所だけど。  売れれば喜ぶのは支配人。  大した助けもないその日暮らしなこの街で、懸命に生きるしかなかった。  最低限、生きてさえいればいい。毎週月曜日は死体を燃やす日だ。  だから自分が住むこの大陸が、どのくらい広いのかも知らなければ。  今自分たちが当たり前のように発している言語が、世界の何割くらいで通じるのかも知らない。  自国の人口が、世界で一体何位なのか。  知ろうと思わなければ、疑問にすら浮かばなかった。  俺の世界はこの居住空間と都市部との、往復だけだから。
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