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《CREA SIDE part8 = CASTE》
昔ながらの街並みが広がっている。
「ねえリチャード、とりあえず時間を決めての自由行動にしない」
折角この国らしいお土産やアート作品があるのに、四六時中見張られているみたいで楽しめない。
だいたい可愛い子でもSPつきで旅をしていちゃ、効果も半減だ。
「この国の経済は以前よりも安定し、上流階級だけを見れば大変優れた人材も数多くいらっしゃいます。
しかし下層が存在するのも事実、治安はそこまでよくありません」
「何それカースト? だから嫌だったのよ、リチャード。口煩いんだもの」
口先を尖らせる。
「怪我にだけは、くれぐれもお気をつけてください。
知らない人にホイホイついて行ってはいけません、お嬢さまのために申しておします。
十九時にはお迎えに上がります」
「十九時? 早いわよ」
声を荒げるが、ぴしゃりと正されてしまう。
「早くありません!」
この国のお札は全てがMr.毛だ、母国の紙幣なら色んな人がいるのに。
一人残された私は、手元のお札を不思議に眺めた。
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