1.悪魔

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1.悪魔

 何かが起こっている、俺の知らないところで。イッサはそう考えながら、駅への道を急いでいた。  今日は高校時代の悪友三人と飲み会だ。全員揃うのは卒業以来だから、七年ぶりになる。 『久しぶりに飲もうぜ』  LINEでそう誘ってくれたのは、大学も同じだったニノだ。在学中は何度かサシ飲みや合コンをしたが、就職してからお互い多忙でほとんど連絡もしていなかった。  せっかくだからとショータとミドリカワにも声をかけ、たまたまみんな暇だということで日程は次の土曜日に決定。履歴の下の方で埃をかぶっていた四人のグループチャットは久しぶりに活気づいた。  お誘いは嬉しかったし、再会はもちろん楽しみだ。しかし今回のことで、イッサの中にあった疑惑は確信に変わった。  何かある。  俺の知らないところで、何かが起こっている。  なぜなら、ここ一ヶ月のうちに、そんな突然のお誘いが何度もあったのだ。中学時代の友人、サークルの仲間、ゼミの先輩や転勤した同期まで。ランチや飲み会の予定で、イッサのスケジュールはどんどん埋まっていった。  貸していた本を約束(アポ)なしで返しに来る後輩がいると思えば、特に親しくもないのに借金を頼んでくる同僚もいた。急に涼しくなった十月のなかばから、「ちょっと早めの忘年会」は今日で六回目だ。
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