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バッと彼の手を離し「何で止めるの?」と茜は泣きながら彼に伝える。
「何でって。茜の髪が好きだから」
何それ。
私は髪だけってこと?
意味分かんない。
そう怒りたいのに口から出てくるのは嗚咽ばかりで咲夜の顔さえまともに見れない。
「茜、俺が好きなのは茜だけだよ。茜の髪だから触りたいし撫でたいんだよ」
「だって、じゃあ何で?先輩とはあんなLIN◯しといて、写真だって、、、あんなの見たらどうしていいか分からないっ。」
「あぁ、あれね。あれは作り物だよ。俺があんな甘ったるいセリフ言うわけないじゃん。」
確かにそうだけど。
咲夜はあまり感情を面に出さない。
常にクールな表情と綺麗な瞳が憂いを与えていて昔からモテるのだ。
甘い言葉や態度は1年以上付き合ってきた茜にもほとんどない。
「それに、あれは潰したからさ、もう大丈夫。」
「え?潰した?何を?携帯?」
「ん?全部」
そう言ってふっと微笑む咲夜に何やら黒いものを感じ追求するのを辞めた。
「それより茜」
「何?」
というか、それよりって何?
すごく大事な話してると思うんですけどっ
「今度俺に内緒で髪切ろうとしたらお仕置きだから」
「何でよっ。髪くらい自由でしょ?」
茜はモヤモヤする気持ちをどうする事も出来ずに咲夜に反論する。
「何言ってんの?茜の髪の毛一本だって俺のものなんだから、勝手に切るのはダメ」
そう言って咲夜はチュっと茜に軽くキスをした。
ち、ちょっと、私ファーストキスなんだけどっ
真っ赤なトマトのように赤くなった茜の顔を見ながらやっぱりなと咲夜は思った。
だから、慎重にいくしかないんじゃん。
キスだけでこんなになっちゃって。
クソかわいいな。
咲夜は、赤く恥ずかしがる茜に2回目のキスをして、繋いだ手をそのままに2人の家が並ぶ方向へ歩き出した。
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