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いや〜良かった。
というより助かった。
田神 悠太は美容師の宝であるハサミをそっと定位置に戻して一呼吸つく。
いつも咲夜と一緒に来る茜が単独で来店した時から嫌な予感はしていた。
彼女に使うシャンプーやリンスまでもチェックする咲夜の事だから茜1人で来るなんておかしいとは思っていたのだ。
田神は咲夜とは従兄弟で、小さい頃からあまり感情を表さず飄々としている年下の彼を、あいつ喜怒哀楽あるんかな?と思っていた。
だが、隣に杉浦 茜が引っ越してきてからは、彼女に関して異常とも言える執着を見せている。
その一つが彼女の髪だ。
確かに美しくクセのない髪だ。
だけど、そこまで?というのが田神の本心で、
されどきっと黙って茜の言うままに切っていたらと思うとブルっと寒気が走った。
咲夜は年下だが、たまに黒いのだ。
何というか、あ、こいつに逆らったらダメだな。っていう感じ。
触らぬ神に祟りなし。
なので、今回の件は咲夜に知らせた自分を褒めるとともに、アイツでもあんなに慌てる事あるんだな〜というのが印象的だった。
初めて聞いたかも。
咲夜が叫ぶの。
とにかく、嵐は去ったので予約の客が来るまで気持ちを落ち着けよう。と田神は目を瞑った。
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