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ゴッホの寝室
この部屋はゴッホが、ゴーギャンの来る直前に描いたものである。さぞ楽しみに待ちわびたのであろう。
同じ作品が3枚ある。1枚目と2枚目は数ヶ月間をあけて描かれており、3枚目は一年後に小さなサイズで描かれた。3枚目は松方コレクションとして日本人がかつて所有していた。
数年前に神戸に本物を見に行った。この絵を再現した実物の部屋もあった。その時僕が見た絵が何枚目なのかはわからない。
この絵は多少線的遠近法がくるっているが、この部屋自体も長方形ではなく、窓側に細くなる台形の部屋だったと解説されていた。
枕が二つある。絵が数点飾られている。質感としてはベタ塗りで、西洋的な立体感を排除している。浮世絵に近い。椅子が同じ角度で配置されていて、誰かが座るのを待ちわびているのだろう。
全体的に明るい色調でととのえられ、この時のゴッホの精神的高揚がうかがえられる。色味が「アルルの跳ね橋」と似たような、日本だと勘違いしていた頃の作品なのだろうか。
テーブルの上の水差し、箱らしいもの。絵の具入れ?実寸大のこのベッドは西洋の大人の男子が寝るには少し小さなもののように思った。テオに送った手紙には「この部屋には完全な休息がある」と書いている。
寝るには壁の色が僕には派手すぎるが、こざっぱりとして居心地は良さそうだ。
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