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κραυγ γυνακα“泣く人”
とある村に伝わる話であるー…
ある日、マラカイトという名の男が帰宅したら隣の家の玄関先で悲しそうに泣いている女がいた
“どうしたのだろう?”と、気になったが、マラカイトは声をかけずに自宅へと入った
次の日、隣の家に住む5歳の男の子が流行り病で亡くなったと知らされた
近所付き合いが皆無という訳ではなかったので葬式に参列したマラカイトは、昨日の18時45分頃にこの家の前で泣いていた女の話をした
しかし誰もそのような女に心当たりは無いという
だが、女が玄関先で泣いていた時間帯は丁度男の子の容態が急変した時間と合致するらしい
また別の日の21時19分
向かいの家で涙を流している女がいた
そして次の日、この家に住んでいる20代の長女が仕事帰りの道中、玉突き事故に巻き込まれ命を落とした
また別の日23時45分、今度はマラカイトの家の前で女が泣いていた
女が現れる時間帯はバラバラだが、この女が現れると必ず不幸が訪れる
マラカイトは自分の身に何が起きるのか恐怖に押し潰されそうだった
そして次の日、マラカイトは脳梗塞で亡くなった
【この女が家の前で泣いていると、必ず其処に住んでいる住人に不幸が訪れる】
いつからかそう語られる様になり、この女は“泣く女”と呼ばれ恐れられるようになった
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