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 居ても立っても居られずに、わたしは椅子から立ち上がる。  ぺちゃくちゃとくだらないお喋りしてる子たちの背後を通って、オフィスを出た彼を追い掛けた。 「亨!」  廊下を歩くあなたに追い付いて、後ろから肘を掴む。 「未散……」  慌てたように振り向いたあなたに、そのままフロアの端まで連れて行かれた。  少し死角になった、自販機とテーブルセットが置かれた休憩コーナー。 「社内恋愛は禁止じゃないけどさ。ちゃんとけじめはつけてくれよ。公私混同は嫌なんだ」 「でも!」  わかってるわ、そんなこと。  でも大事なことなのよ! これは何よりも大事な──。 「……とにかく、帰りにお前の部屋に行くから。ちょっと話が──」 「お、小笠原」  飲み物を買いに来たらしい同じ課の社員の声に、あなたはハッとしてわたしに作り笑顔を向ける。 「じゃあね、み、──渡辺さん」 「ああ、渡辺さんも居たんだ」  その声に我に返って、わたしは彼におざなりに会釈だけ返した。  オフィスに戻るために自然急ぎ足になりながら、私はもうあなたのことしか考えられない。
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