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同じ職場に好きな人がいた。
今日はバレンタインデーだ。だから今日、彼に告白しようと思い、昼休憩にデパ地下で美味しそうなチョコレートを買った。
そして、職場に戻ると、好きな人はゼクシィを読んでいた。
「それ……どうしたんですか?」
「あぁ、婚約者に結婚式の前に読めって言われて押し付けられたんです」
そう微笑む彼とは対象的に、私は心のなかで泣いた。
仕事終わりの帰り道、何となく夜の誰もいない公園のベンチに座った。
そこで、ようやく瞳から雫が流れ落ちた。
彼のことが、本当に好きだった。
鬱病を抱えながら働く私を、常に気にかけてくれて、つらい時は相談にのってくれて、本当に優しい人で、気づけば恋をしていた。
だけど、私の恋は告白することさえ許されなかった。
役目を失ったチョコレートを、私は公園のゴミ箱に捨てた。
さようなら、恋心。
いつか来て、運命の人。
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