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【心の瘡に落とし蓋】
ある休日の昼下がり
鍵のかかった引き出しが
ふいに目に留まった
老化していて引けば開いた
中には昔の日記帳
小学生の
拙い文字で
悲痛の叫びが
遺されていた
思い出してきた
思い出してきてしまったのだ
厚い瘡蓋を
掻いて掻いて掻きむしった
熱い想いを
書いて書いて書き殴った
さらにページをめくっても
哀愁漂う筆跡は
深く刻まれてた
どうかしていて引けず開いた
中身は遺恨の日記帳
しばらく宙を
眺め耽って
パタンと閉じて
深呼吸をした
思い出さぬよに
思い出してしまわぬように
くすんだ詩(うた)を
裂いて裂いて裂きまくった
真紅の花が
咲いて咲いて咲き誇った
滴る涙は傷(瘡)を癒して
滴る涙で花は育った
血涙で紅く(あかく)染まった花は
棘の無い花に成長を遂げ
どんな苦境にも折れない茎よ
くすんだ詩(うた)を
裂いて裂いて裂きまくった
真紅の花が
咲いて咲いて咲き誇った
内なる声は
泣いて泣いて泣き腫らした
聖なる鳥は
鳴いて鳴いて鳴き晴らした
いつしか蓋は枯れ果てて
ハートの痕が鮮明に
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以前書いた【日記帳】を元にしたやつです
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