失くなったモノ

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突如現れた怪盗は暗号を残す。 それからと言うものクラスメイトの話題は、『次に何が盗まれるか』でもちきりになっていた。 【4】にイス。 【3】に花瓶。 【2】に何か、という具合に。 「なあ、なあ、中城。次に何が盗まれるか賭けようぜ。」 当然、僕の周りの友人も例外では無い。より、このイベントを楽しむようにとしての付加価値を付けたりする。 何とも面倒くさい。 次があるかなんて分からないのに……。 僕はたまたま近くに居た、香美村さんにSOSを求める事にした。 「ねぇ。 香美村さんは、次に盗まれるとしたら何だと思う?」 急に声を掛けられて少し驚いた様だったが、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべて「ふふ、私はいいの。既にもう賭けているから。」と良くわからない返しで煙に巻かれてしまった。 逃げるのが上手いのは正直に羨ましいものだ。 ※※※※※※※ ずっと何かが引っかかっている。そんなモヤモヤする気持ちを抱えてた。 土日を挟み、週の明けた月曜日の朝。 「暑い………。」 今日は、三月にしては気温が高く、照りつける太陽が初夏と錯覚させてしまう程だった。 今朝のニュースでも、熱中症の注意喚起が出ていたくらいだ。気を付けないと。 しかし、教室へ入るとその熱気は更に高まる事になった。 わいわい。ガヤガヤ。 ボルテージは最高潮だ。 僕はため息を一つ。もうここまでくると確認する必要は無いな。 第三の窃盗が行われたみたいだ。なら……。 僕は例に習って、入ったばかりの教室から再び廊下へ戻る。 居た居た。布教師だ。 さて、今回は何が盗まれたっていうんだろうか。 ※※※※※※ 盗まれた物を聞いて僕は素直に驚いた。 第三に、盗まれた物。それは『教室のカーテン』だった。 消えたカーテンがあった窓には、またしても数字の【2】と付箋が貼られていたらしい。 なんともまぁ、大胆不敵な。 ふぅん。カーテンか。 カーテン………。 驚いたけど、これでこのモヤモヤの正体が分かった。 うん。 やっぱり犯人は、だ。
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