遠藤 春奈

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遠藤 春奈

何となくそんな気がしていた。 それに、こんな事をする人間は香美村さん以外に僕は知らない。 【4】に【イス】 【3】に【花瓶】 【2】に【カーテン】。 これらは、全て現在不登校のに関係している物だ。 そして香美村さんは、遠藤春奈の痕跡を廻っている。 彼女のこの学校に居た痕跡を……。 改めて思い返せば、この一連の騒ぎは香美村さんの僕に対しての行動と言動をなぞっている。 そして彼女は、僕を何かにしている。 だとすると、次に狙う物は何だ? 遠藤春奈。 彼女の痕跡を消す。 彼女…………。 彼女を消す………。 どうせ、次がラストだ。 次の【1】と盗る瞬間を押さえよう。 それにどうせなら、この一連の騒動を生んだ怪盗を現行犯で捕まえる。 まぁ、怪盗と言っても香美村さんなのだが…。 ※※※※※※※ 放課後の教室。 時刻は6時半を少し廻ったところ。既に人気の無くなった教室に一人少女が現れた。 少女は、黒板横のコルクボードの前に立つと動きを止める。 しばらく静止した後、ポケットから何かを取り出した。 「そこまでだよ。」物影に隠れていた僕は言った。 「もう一度言うよ。そこまでだよ、香美村さん。」 「あら。中城君、居たの。」彼女は、振り向く事無く言う。 全くもって白々しい。ここまで誘導したのは香美村さんじゃないか。 まぁ良い。手っ取り早く解決編といこう。 「香美村さん。」 「なぁに? 中城くん。」 彼女からはどこか余裕すら感じる。 「まずは、その手に持っている物を置いてもらおうか。」 カシャンッ。 香美村さんは持っていた物を床に放り投げた。 そして、頼んでもいないのに両手を上げる。 なんの、サスペンスドラマだよ………。 僕は落ちた物を見て確信する。 修正テープと【1】と書かれた付箋。 いちよう、追い詰めたからには最後までやらないとだな。 「香美村さん。もう全て分かっているんだ。今回の一件、犯人は香美村さんだよね。」 「………。」 「香美村さん。君は、遠藤春奈さんの学校での痕跡を消して廻っていた。【イス】、【花瓶】、【カーテン】。そして、今回の【クラス名簿】。君は、その修正テープで【遠藤春奈】を消そうとしていたね。」 「ふふ。良く【クラス名簿】って分かったわね。」 「ああ。ラストはきっと、もっと具体性がある物だと思ってね。」 実際は、犯人を香美村さんと断定した時、ならどうするかを考えた結果だった。 パチパチパチ。彼女は拍手をすると、満面の笑みで振り返って言った。 「良く出来ました。でも……。」 でも? 「まだ半分。」 え? 「中城君。カウントダウンってね。最後は【0】で終わるんだよ。年越しのカウントダウンだってそうでしょ。」彼女の口角が上がる。 ザワッ。一瞬で背筋が冷え鳥肌が立った。 「待って。香美村さん、まさか……。」 僕は勢い良く廊下へ向かい走り出した。 遠藤春奈に危険が迫っていると分かったからだ。 一刻も早く遠藤春奈を僕の彼女から避難させないと。 「待って、中城君。」 「何? 香美村さん。」僕は教室のドアに手をかけたまま言った。 「どこへ行くつもり?」 「決まっている。遠藤春奈さんの所だよ。」 「彼女の元へと行くの?」 「行く。」 「そう。ならは私の。」 賭け? もう何が何だか分からない。
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