雪の友達

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「あの時は全然不思議だったと思わなかったよな」  地元にある行きつけの居酒屋。  じじいになってからも小学校で一緒だった奴らとは、ここでしょっちゅう飲み会をする。  あの時の校舎は立て直され、木造だったのが鉄筋コンクリート造りになった。  俺らが避難する頃には2階も煙で充満し、西側の階段からすらも降りることが困難だったとか。  あの年以来、この村があれほどの雪に見舞われた記憶はない。  そして雪人形を何度か作ってみたが、動く気配もなかった。  勘定を済ませ、暖簾をくぐる。 「お、冷えると思ったら雪が降ってきたぞ」 「さっさと帰るか」 「積もりそうか?」 「どうだろうな。積もってもでっかい雪人形作るなよ。巡回の時に割とビビるんだぜ」  がはは、と笑いながら皆、家路につく。  雪が、音もなくそっと肩に舞い降りた。  酒の匂いが混じった白い息を吐きながら、雪人形を想う。 「……ありがとよ」  俺は雪が降るたび空に向かって礼を言う。 (おしまい。火の元には気を付けましょう)
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