はいけぃ

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 今は2がつだけど、とてもあつたかくて、はるがちかいとかんじます。  長い文を書くのはにがてです。でもがんばります。  これから、わたしがあなたをけしたりゆうを書きます。  一番のりゆうは、すきじゃなかったからです。すきじゃないというか、とてもきらいだったからです。これからどんなとこがきらいか書きます。  走るのがおそいこと。  かおがかわいくないこと。  ちょつとふとってるところ。  友だちがいないこと。  べんきょうがきらいなこと。  きゅう食で牛にゅうがのめないこと。  でもいちばんはわたしのことをきらいなところです。  わたしは今、いじめられています。  がっこうに行きたくないと思います。  せんせぃともはなしたくないと思います。  でももうちょつとでてんこうするので、きっと大丈夫だと思います。  ぜんぶのりゆうで、あなたをけそうと思いました。  さいしょは、お父さんとお母さんにあなたをけすかきかれました。  わたしはとつてもまよいました。  なのでわたしは、ふたりに「どうしたらいいの?」とききました。  ふたりは「それはさっちゃんがきめることだよ。もしさっちゃんがけしたいなら、お父さんとお母さんはきようりょくするよ!」といってくれました。  わたしはすこしまよつたけど、あなたをけすことにしました。  あなたががっこう、クラスのみんなのきおくにのこらないように、けすことにしました。  あなたをけすために、お父さんとお母さんに、いっぱいきようりょくしてもらいました。  あなたのもじやしやしんもたくさんけしました。あなたのそんざいをけしました。  これであなたはちゃんといなくなると思います。  先生に「さびしくない? あなたとぃうそんざいがきえてしまうのよ?」ときかれたけど、わたしはどういうぃみだかわからなかったです。すこしいやなきもちになりました。  わたしはさびしくなんてないです。なぜならきらいだからです。  わたしはあなたをけして、とてもスッキリしました。  たくさんもじをかいてつかれたので、もうそろそろおわりにします。  さいごにこの手がみをよんでいるわたしは、今なんさいですか? もうけっこんしましたか? これをよんでいるわたしがたのしかったらうれしいです。  手がみのかきかたはおばあちゃんからききました。うまくかけたと思います。  かしこ  *** 「おかあさーーん! アルバムあった?」  私は娘に呼ばれ、旧姓である穴田と鉛筆で書かれた封筒をとっさにしまう。 「うーん、無いみたい」 「えぇ!! なんで! おかしいじゃん!」  確かに小学校の卒業アルバムが無いというのは少しおかしいか。しかし、もう荷物になるから捨ててしまったということにしようと私は思った。自分のためにも、娘のためにも。 「片づけちゃったんだよ。多分。ごめん!」 「なんでなくしちゃうのもう! 昔のお母さんの写真見たかったのに」 「ごめんね。ちょっと昔、自分のことが好きじゃなかったみたい。お母さん」 「もう、何それ」  私は何かを祈るように、そしてごまかすように、目の前の娘を強く抱きしめた。
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