第1話 勇樹、仕事を辞める。

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「えーっと……桜ヶ丘駅から北西の方に歩いてこの交差点を渡って……」  3日後、勇樹は株式会社ジャングルジムの面接会場に向かっていた。 「このドラッグストアを曲がって……あ、あった! 木下ビルの8階か」  B市の中心街・桜ヶ丘町、桜ヶ丘駅から歩いて10分弱の場所にある木下ビルの8階に、株式会社ジャングルジムはあった。 8階に着き、扉まで来たところで、"御用の方はインターホンを押してください"と書いてある。 ピンポーン…… (はい) 「本日面接していただく中山勇樹と申します」 (あ、中山様ですね。お待ちしておりました。少々お待ちください)  間もなく、制服姿の女性が面接会場の部屋に案内してくれた。少し待つと、採用担当の男性がやってきた。爽やかな雰囲気でまだ若く20代後半ぐらいに見えた。 「はじめまして。今回の求人の採用担当をしています、安田です」  安田は話しやすい雰囲気で、スムーズに質問に答えることができた。  面接が終わり、結果は数日後に電話をもらうという話だった。
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