第1話 勇樹、仕事を辞める。

5/5
前へ
/60ページ
次へ
−−数日後、古本屋でマンガを立ち読みしていると、勇樹のポケットが揺れた。マナーモードにしているスマホの着信だ。画面を見ると、株式会社ジャングルジムからだった。先日の面接の結果、合格ということだった。  次の正社員での仕事が決まるまでのつなぎのつもりではあるが、受かったことにホッとして嬉しくなった。 「忘れ物はない? 遅刻しないように余裕を持って行きなさいよ!」 母親に言われ、 「子供じゃないんだから。ちゃんと時間も確認してあるし、大丈夫だよ」 勇樹は遅刻しないよう少し早めに家を出た。  今日はジャングルジムに初出勤だ。ドキドキしながら木下ビルの8階に着き、女性社員の方が勇樹の働く場所に案内してくれた。 「こちらが今回の業務を行う場所になります。中山さんのデスクはこちらになりますので、担当の者が来るまでこちらで少しお待ちくださいね」
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加