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第2話 株式会社ジャングルジム
業務を行うスペースは、ちょっとした会議室ほどの広さで、社員の人たちが仕事をしている場所とパーテーションで仕切られている。パーテーションの入り口から向かって右側と左側にデスクが3つずつ並べられており、それぞれのデスクにパソコンが一台ずつ置かれている。左側の入り口に1番近い席が勇樹のデスクだった。
にこやかに対応する社員が退室し、1人でそわそわ待っていると、一緒に働く同僚であろう女性が案内されて入ってきた。
中年の女性で、緊張のせいか表情が硬かった。俺の2つ隣のデスクに案内され、腰を掛けたおばさんは目が合うと、会釈をして
「はじめまして。松本邦恵といいます。よろしくお願いします」
と挨拶した。物腰が柔らかい優しそうな雰囲気だった。少し白髪混じりのショートカットで、小柄で痩せ方のどこにでもいそうなおばちゃんといった雰囲気だ。
「中山勇樹といいます。これからよろしくお願いします」
挨拶をし、少しお互いの緊張がほぐれた。
「中山くんは若そうよね。何歳なの?」
「僕は26歳です」
「あら、やっぱり若いわね。うちの息子と同じぐらいだわ」
「松本さんは息子さんがいらっしゃるんですね」
「まあねぇ……うちの子は中山くんとは全然違うタイプだけど……」
そう言った松本さんの表情は、どことなく暗さを感じた。
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