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 来ないわけにはいかないのだろうが、この調子だとあの男は、いきなり「どうもー!」と言って現れ、デリカシーのない打ち切り方をしてくるだろう。  それでも、また男がやってくるまで、その夢かもしれない、いや、結局夢でしかない時間をオレは、一心に生きるしか道がないには違いない。 「これも夢なら……夢でも、とにかく生きてやるさ」  不意にうら寒さに襲われてオレは、ほのかに香るハルミの身体を引き寄せた。彼女は小さく悲鳴する。  その首に優しく唇を押し当てると、固く、固く抱きしめた。 (了)
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